― 魔王城最深部 ―[ふる、と首を軽く振って、意識を目の前に向ける。相対すれば常に接戦、醜態を晒した回数も少なくはない。それ故に]……負けられねぇ。[黒の魔獣に抱く思いは、単純明快。『勇者』としての務めを阻む障害という以上に。個として負けたくない、という思いがそこにあった。**]