― 第2エリア・ホテルの自室 ―
な、なにが起こった……?
[ ただただ、呆然としていた。
突然のアビィの機能停止。
その直後に鳴り響く緊急事態宣言>>#1 ]
これをあのドロイドが……?
[ 不可能ではないと思った。
あのドロイド……アビィはそこいらの、そう例えばこの船のあちこちで見かけるような接客や警備などを担当しているような量産型のドロイドとは比べ物にならないスペックの一品モノだ。
だが、これがアビィの想定通りの結果でないことは明白だ。
では、"イア様"の……? あの方は予定を変えたのか……?
そ、それとも……やはりこれは……私を……。
しかし、今の彼にそれを確かめるすべはない。
それができる唯一の手段もまた、アビィの非常回線にあって。
モニタリンクしているアビィのステータスが完全な沈黙を示しているとあっては、およそアビィの開発者自身でもない限り、その修復は不可能。 ]
なんということだ…………!
[ そこまで思考を進めて思い知る。
今、この船には、この星域には、自分を守ると保証してくれる者は誰もいないのではないか……? と。]