― ある日、森の中で(8年前) ―
[クマ退治に行こう。
そう言って弟分を引き連れて出かけたのは、気持ちよく晴れた日だった。
守役には何も言わず、普段のように遠駆けするようなふりをしてキュベルドンの森へ向かう。
噎せるような濃い緑の傘の下を行くこと暫し。
涼やかな流れに掛かる橋の上で、クマを見つけた。>>51
橋の手前で馬を下り、弟分に手綱を預けて橋へ向かう。
頭ふたつ分は高い巨体にも、恐ろし気な風貌にも、風を切る斧の重い音にも、少年は立ち竦むことはなかった。
がははと笑うクマを上から下まで見回して、少年は息を吸い込む。]