[もう一度室内を振り返ると、この図書館のどこかにいるはずの彼に呟く。]……カスパル。[あの時ここに留まろうと考えたのは本気だったから、謝るのは違う気がした。でも、あの痛みを味わうことなしにはこの決意は生まれなかったから。]私は、私の選んだ道を生きます。──ありがとう。[それだけ言い残すと、踵を返して門をくぐった。──以来、少しだけ形を変えたペンダントは、変わらず己の胸元にあり続ける。**]