─ プラメージ王国野営地 ─
[槍と共に貫かんばかりの勢いは、腕を掠めさせただけで衰える事も無く。
こちらが振り下ろした斧刃を避ける程の余裕も、ミヒャエルにはやはり無かった。
誰が見ても致命傷だと分かるその撃に、誰もが皆倒れ伏すと思った事だろう。
けれど、それは彼自身によって覆された]
っ…!
[ベリアン自身、この手応えならば倒れるものと思ったのだ。
穂先を回し、横に振り抜く槍の軌道など読める訳も無い。
傷を受けた腕を咄嗟に出して胴を庇い、押し戻す。
ざくり、肉を裂く音が痛みと共に身の内に響くが、それもほんの少しの間。
ごぽりという音と共に、槍持つ青年の口から赤が溢れ、動きが鈍る。
その隙を見逃さず、逆手に持った斧の柄を振るい青年の胴を突き放す]