― 魔王と竜と ―
その城を造った者に悪趣味と言われるのは不本意だな。
尤も、こうなろうと思ってなったわけじゃないが。
[ 天使を封じていた聖柩の構成要素を全て取り込み、男を侵蝕しつつあった闇の要素を混ぜ込んで、二つの魂を解き放つための外装と為したのがこの竜だ。この形態になったのは偶然...或いは異界の者達の力や、記憶の中から天と魔双方に抗うもののイメージを取り込んだ為かもしれないが ]
しかも相変わらず、遊ぶことしか考えていない、と。何千年経っても赤児のままか、魔王。
[ 赤児と呼ぶ、その聲は、しかし、かつて対峙した時よりも幾分か穏やかだ。
闇の一部を己が力として受け入れ、長い時を人ではないものとして過ごしたがために、魔に対しても、ある種の理解が生まれているらしい ]
お前の配下になるのは御免だが...
[ 誘うかの言葉には、不機嫌そうに喉を鳴らす、そっと左の頭に視線を投げたのは、天界はやはり天使の故郷であろうと思うから** ]