― 回想 ―
情けをかけたか?愚かなことを。
[笑う声が、魔戦士の上を滑って落ちた。
既に仕置きはされてある。
いかに治りが早いとはいえ、痛みを感じぬわけもなかろう。
そんな魔戦士の背に、今は大きな傷が刻まれていた。
つい先ほど、闇が切り裂いたばかりの傷だ。]
……愚かな。
[魔戦士が戦士の誇りをもって人の戦士と交わした約束は、別の魔の配下によって無残にも破られていた。ある小さな村を守っていた戦士であった。魔戦士───レオンハルトとどのように刃交わし、どのように心通わせたのかは分からない。
ただ、自らの命と引き換えに小さな者らはせめて見逃してやってくれと、その願いを聞き遂げて目を瞑らんとした魔戦士の背後で、その小さな者らは全て無残に殺された。]