― デメララ駐屯隊 ―
[指揮官が無能ならば、いくら兵が精強でも駄目という見本のような状況で、兵らは各自の判断での戦いを強いられている。
そのうえウル服用の許可もいまだに出ていないので、魔導師相手に普通の兵が対処している状態だった。
ベルガマスコ氏はようやく武装を身につけ終わり、全身くまなく板金鎧で覆った巨体で、駐屯隊本部の中を意外に身軽に駆けていた。
ようやくやる気になった、のではなく脱出の手はずを整えるためである。
そこへ、本部の前にひときわ派手な光が降り注ぎ>>101、氏の心臓を跳ね上げさせた。]
「わ、私を守りなさい!
そこの部隊、本部の前を固めるのです!
あいつ、あいつに矢を、ほら、撃ち落としなさい!」
[本部入り口から外の様子をちらりと見て、周辺の部隊を慌てて呼び寄せる。
指さす先には、正しく先ほどの術者がいた。*]