[冷たい風は容赦なく体温を奪っていくし、髪の毛なんかはもうぱりぱりに凍ってるし、鼻水をどうにかするだけの気力すら残っていない。
雪道が凍ってないのが幸いではあったが、それでも一歩足を進めるたびに雪に埋もれるから体力がいやでも持っていかれる。]
……。
[無事、辿り着いたのは、既にレジーナの遺体が発見され、支配人室に運び込まれ、あらかた村に残る住人たちが辿り着いた後の事。]
→ 宿 ―
[雪から逃れるように、まさしく玄関に転がり込んだ。
人の、声がする。
それがこんなにほっとするなんて。]
……こ……、ばん……。
[口がうまく回らない。
玄関先でへたり込んだまま、身体にこびりついているかのような雪を払ってからどうにかこうにか立ち上がった。]