[とはいえ、僕にとっても想定外だったことが二つ。
一つは、文書が偽造であると騒ぎ立てる者が出たこと。
仮に真実だとすれば、主犯は尚書閣下かその周辺あたりか。
平民出の僕としては貴族的思考に凝り固まった彼らは気に食わないけれど、もしも本当に遺言が偽物だったとしたら。]
(――よくやった!と言ってやりたい気分だよ。)
[それから、もう一つ。
フェリクス殿下が明確に即位を認めない意志を示された事>>81。
ずっと仲が良かったお二人のこと、多少の動揺はあれ弟の即位を認めてくれるだろうと予想していたのに。]
(……僕としたことが、読み間違えたかな。)
[これは良くない、非常に良くない。
これではウェルシュ様にどれほど名分があろうとも、
彼を支持する者がいる限り、事はそう簡単に収まらない。]