[尚書官長執務室の近くに向かう。目的は街の視察のお供を付ける為だ。
時折此方も街へと足を向ける事が有ったりするので、その度に護衛を付けなければ周囲は中々納得してくれない。
故に城下町へ視察を行く時は誰かに護衛を頼むのだが。]
あぁ、今回はリヒャルトか。
お前ならば、気楽に視察も出来るな。
[幼馴染でもあるリヒャルトが今回の視察の共になってくれる様だ>>97。
気心知れた人物が護衛に回ってくれれば些か気楽に回れる、というものだが。
恭しく頭を下げる様子には、かつて軍学校で共にした友人の態とは違う。
顔色一つ変えずに幼馴染の仕草を見詰めた後。]
今日は南の方を見て回ろうと思ってる。
彼処は、治安に少し陰りを見せているらしいという噂を耳にしてな。
噂の真偽を確かめ行くのも悪くは無いだろう?
[本来ならば、王子が態々出向いて視察するべきでは無いのは重々承知している。
リヒャルトの手際の良さを信頼しているのも然り、貴族側の動向のチェックや牽制も兼ねているのも有る。
後者に対しては口にしないのだが、此方の思惑は悟られないのだろう。]