─恋の話、を少ししましょうか。[期待はしないでくださいね、と微笑んだ。] …昔僕には好きな子がいました。 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、なんてことわざがあるけど、まさにそんな人だった。 僕は彼女と出会い、一目惚れしたんです。何にも興味が持てなかった僕が誰かを好きになれた。嬉しかったよ。 もちろん、僕に想いを伝えるほどの勇気はなかった。 彼女を見つめているだけで、その時の僕は幸せでした。