[その瞬間。
獣の動きが止まり、再びその身を人へ――彼女が見慣れた姿へと戻り、馴染みのある声が聞こえて来るだろう。
先程一瞬姿を見せたもの>>14が、眼前に存在していた。]
……カサンドラ!
[“ソマリ”が再び意識を取り戻す。
彼女に浮かび上がる苦痛、苦悶の姿に、ガルーを跳ね除け出てくることに成功したのだ。]
[智慧のガルーがカサンドラを襲おうとしなかった理由。
距離を置こうとしてまで傷つけたくなかった現実>>28。
そこに存在したのは彼女への憐憫か、同情か、それとも他の感情か。]
カサンドラ。俺が誰かを殺すのを見るのは嫌だとさっき言っていたな?
俺だってそうだ。カサンドラを殺人者にさせたくは無い。
カサンドラの手は、人を助け、救う手だから。
[室内の犠牲者達に添えられる花々は、彼女が一人ひとりに用意したもの。
未だ爪は鋭く伸びたままだろうか。
例えそうであっても人を傷つける手、では無い。]