[浴びせられたのは炎ではなく、言葉だった。
割れがねのような声が空気を揺らし、飛竜の飛行を乱す。
ヤコブは、風の音に負けぬよう声を張り上げた。]
こいつが俺を選んだか、って意味なら、そうだ!
『 "鍵"に選ばれた、か。
"鍵"の力があれば、我を討てると驕ったか? 』
[轟々と、遠雷に似た音が響く。
火竜が嗤ったのだと気づいたのは、少しあとだ。]
驕ってなんざいねーよ!
けど、俺はどうあってもあんたを止めなきゃなんねえ。
だから他に手がないってんなら、あんたを討つ!
[宣言とともに"鍵"を構えなおす。
淡く輝く刀身を、火竜の大きな目が見つめた。]