― 平原 ―
[交差の最中、そこが要と読んだ戦士に向けて繰り出した一刺しは、確かに手応えを伝えてきたが]
……っ!
[引き戻そうとした槍の動きが、止まる。
今、槍で貫いた敵兵の手が、槍を掴んでいた。>>100]
おやおや。
そんな事やらかすのは、俺らくらいだと思ってたんだけどねぇ。
[口調は揶揄するものだが、声音は鋭い]
でもねぇ……このまま固まって、的になる気はないのよね、オジサン!
[どこか楽し気に言い放ちつつ槍を引き――唐突に、引く力を緩める。
槍そのものの重さを相手に押し付ける動作は虚を付けたか、否か。
いずれにせよ、槍の束縛が解かれるならば、繰り出されるのは再度の突き一閃。*]