[目を使わずとも、聞こえるものだけで十分闘える方法を教えてくれた。>>90
ディーターの指導を一言も聞き漏らさず、彼の言うことを頭の中で反芻する。「正面切っての戦闘では自分には勝ち目はない。だから、相手に不意討ちを賭けなければならない。」
実際にディーターの指導をさらい、彼の前で獲物を鞘から抜き前へ突き刺す動作もしてみせた。時間がないなか、碌に刃物を扱った事も無いクララに、ディーターは丁寧に訓練してくれただろう。
目には頼らず、耳だけで。他にも色々な障害があるに違いないが、それでも。]
ありがとう。勉強になったわ。
ええ、分かってるわ。わたしはこんなんだから難しいのは承知の上よ。
…分かったわ。もし失敗したら、危ないと思ったら、 逃げるわ。
[最重要だと言わんばかりに最期に伝えられたが、クララは嘘を付いた。
例え、刺し違えることとなっても、逃げない。
その時は必ず道連れにする。]