ぐっ、
[ただのオッサンだと舐めていた。
例え軍人だとしても、今は退役した老害だと見くびっていた。
鋼のような己の肉体に、重い拳が突き刺さり、鈍い呻き声をあげる。]
て、 ………めェ…!
[此方も遠慮のない拳を突き出す。
さてその拳は、相手のどこにぶつかったか。
傍から見たら、良い年した中年オヤジが何をしているのだと呆れたことだろう。
幸か不幸か、その時はディーンが居なかった。
二人を止める相手も居なく、殴り合いは双方が力尽きるまで行われた。]
―――――…ち、っくしょう、
[腹の中心にまともに受けた拳。
まだ立てる、そう思ったけれども身体は言うことを聞かなかった。
クマの巨体はそのまま横倒れになり、意識を手放した。]