人狼物語−薔薇の下国

208 守護天使は暗闘する


天使長 シルキー

 …少し、休みましょうか。

[あの頃に戻りたい。そんなことをふと思ってしまうような気分の中で仕事をしても、きっとミスをしてしまう。
そう考えてアテもなく歩いていると、いつの間にか雲で出来た階段のところまで来ていた。

――天使長になるために、自分には試験があった。
1人で人間界に行き、数日間留まって人間のことをより深く知ること。
一見すれば試験とは呼べない簡単なものかもしれないが、何せシルキーは無垢であり、そして無知だった。
無知故に理想しか持てなかった者がたった1人、欲望や穢さに塗れる世界に降りればどうなるか。

――人間の欲望の餌食になるだけだ。]

 あら、……シグルド?

[聞こえてくるのは主の御業を喜ぶ歌のハミング。
吸い寄せられるように近付き、そこで何やら編み物をしている彼を見つけて名前を呼んだ]

(105) 2014/06/21(Sat) 19:54:34

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