[少女と別れ、草むらまで来てみたは良いけれど、
ヨモギはわずかに新芽を吹いたばかりで、
摘み取るには流石にかわいそうだ。
温暖な出身地では真冬でも葉が完全に枯れてしまう事はなかった。
食べる訳ではないのだから、越冬の固い葉でも問題はなかったのだけれども、
雪の多いこの村での季節感はまだ掴みきれていない。
踏みつけるとカサコソと鳴る枯れ草から目を上げると、
奥の林に青いか細い影が見えた。]
あ、エレオノーレ…。
そっか、ここに居たんだ。
[彼女もまた素材を探しに野外へ来ていたのだろう。>>25
近寄って声をかけるか迷っていると、
北の方角からピュゥと冷たい風が吹きつけ、
傾いた陽が夕暮れの近い事を知らせた。]
お店に戻った方が良さそう。