[その瞬間だろうか。
噴水の側から、響き渡る盛大な水音>>90
ちら、と視線を流して、数秒微妙な間を保った。
目に入るのは、噴水に突っ込んで濡れ鼠になった青年だ。
身に纏う雰囲気は天使のもの。
ただし――、圧倒されるような神々しさや、神の使いらしい傲慢さの影は見受けられない。
……というか、間抜けな光景である。
天使の間で噴水の水で身を清めるという風習でもない限り、これは正直、目撃したくない類の一幕だ。
見られた方も、見てしまった方もいたたまれないという大惨事である]
貴方、何をなさっているのですか?
[自然、かろうじて脱出した彼>>98へ掛ける問いも微かに強ばる。
おかしい、何故私が罪悪感を感じねばならないのでしょう、と胸元に手を当てて自問した。
流石天界、いきなりこれとは侮れない。
なにか間違えた危機感が芽生える瞬間である]