[9年前の事を思い出す。録に別れも言えずに言えなかった事は悔やんでも悔やみきれなかった。
兵士になる事がどういうことだか分からない程に幼くはなかった。シモンが村を出て行ったと聞いた夜は「シモンのばか、ばか。」とひとりぐずっていた。
勿論、どうして兵士になろうとしたのか子供だったオットーは聞かされていない。…。]
(なんで、戦場になんかに…。
そんな怪我してばかみたいだ。ううん、怪我よりもっと酷いことだって。)
[あの頃を思い出して、目の前のシモンを詰りたい気持ちでいっぱいになったけれど我慢した。「…そっか」と返事するだけに止めた。その声は何処か怒ってるように聴こえただろうか。]