―アミューズメント・エリア/ホテル前―
[第二エリアの通路を歩く。
歩きながら、不思議と、シメオンがいるだろうという確信を帯びていた。
なんでこんなまどろっこしい真似をしたのかは、ひとまず置いておいて、何かに急かされるように、足がどんどんと歩みを速める。
そして、たどり着いた先には……彼がいて>>102、バイオリンを持っている姿に、やはりと思っただろう。
ああ、呼び出して悪いな、という彼に、不思議そうな顔を浮かべたかもしれないが、続く言葉に、にやりと笑う。]
シメオンだって、怪我してるのに、弾こうとしてるじゃないですか。
[広げられたバイオリンケースを横目に、笑う。
本来ならば、諫めるのが正しいと分かっているが、お互い様だ。
多少は目を瞑ろうじゃないか。
そういってにやりと悪い顔をして笑えば、彼はどういう顔をしただろう。
"記憶の、横流し"
という言葉>>103に、蘇るのは、メイン・サロンで交わした会話のことで。>>5:203]