[吹き上がる鮮血が宙を舞い、僅かな量だが口内へと入り混む。
新鮮な血はまるで美酒の如き味わい。
血が美味く感じられるのも、彼女が“人間”である証であり、己が“人狼”である証。
例え人からは化け物扱いされても、やはりカサンドラは己からすれば人間でしかない。
現に鋭く伸びた爪>>8では無く、未だにナイフを持ち続けていること>>89。
ナイフを捨て爪で攻撃すれば、攻撃手段も広まるだろうに。
これが滑稽だと思えるのも、己が人間でない証なのだろう。
黄金の獣は再び歩き出す。
新鮮な極上の血が目の前にあるのだ。
今なら人目も憚らず食い尽くせる。
一歩、一歩。
深く抉れた傷口からは未だ夥しい血が流れ続けているのだろう。]