[向かう先は当然あの黒い獣の飼い主の男。>>78
トールの話には口を挟まず、二人のやり取りを目に耳に。
他者に解せぬ意思の伝達手段は幾つか知れど、「心話」などというものは聞いたことはなく。
この時事前に話されていたことを含め頭には無かった。
ただ、この油断出来ない雰囲気を持ち合わせた男と吸血鬼との間に強い信頼関係を確かに感じた。
狐が知る中で、己が持ち合わせた中で一番それに近いのは。
狐、妖精、小鼠、兎、形は様々なれど等しく思念で繋がる同族だった。]
そうかい。そうであればいいがね。
アルビン。
姓は、無い。
[宿の予約に使用し常から使い分ける一つの偽名ではなく、自分自身が本当に持ち合わせた名だけを告げて。
出された手と握手を交わす。>>79]