[消えてしまいたい。“過ち”である自分が生まれなかったように、世界を正したい。……だから、誰をどう利用しようと構わないつもりだった。裏切っても、傷つけても、「静寂が生まれなかった」事になれば、何もかにもがなかった事になる。誰の記憶にも残らず、静寂はすべてを放棄して、ただ静かに無に還れる。そのはず、だったのに。彼を死なせてしまうのは嫌だ、なんて未練が、まだ自分の中に残っていようとは思わなかった]