[やがて声の届く距離まで迫った女性>>95は、口を開く]
御機嫌よう、御嬢さん。
僕達も出口を探しているんですよ――…。
[紡ぐ返事は穏やかに。ローレルも何か喋っただろうか。
男の手は優しく少女の肩に置かれたまま。
此処から動かないで、離れないで、と言うように。
この美味しすぎる"餌"が、罠でない確証は未だないから。
人間は、何かに気付いて後ずさった。
自分の服を見て、血濡れであることを思い出す。
――こいつはうっかりだ。
どう言い訳しようかなぁと思案した刹那、 >>96ぞくり]
[見覚えのある漆黒の巨体を]
[あの充血した苦しげな瞳を]
[再度男の空色は捉え、獣の瞳も此方を向いた気がした]