[そうして、片膝をついて姿勢を安定させ、両手で弩を構えて機を待った。闇が濃く深くなった一瞬を狙い澄まし、引き金を引く。スカーフをなびかせながら飛んだ矢は、水の柱をすり抜け、闇の雲を貫いた。直後上がった悲鳴にも似た鳴き声は、狙い違わず一角獣の鼻先に矢が突き立ったからだろう。周囲に立ちあがっていた水柱が、ざ、と音を立てて崩れる。ローランドの浄化の香が効力を示したに違いなかった。]*