俺は……寝てなんていない。
目の前に居るだろう?
それに……カサンドラだってそんなに泣いているじゃないか。
俺が見えてないと思っているんだろう?
見えてるんだよ……だから……。
[美しく輝く涙は止め処なく流れ続け、止まること知らない。
今程自分の無力ささを痛感することは無かった。
無駄だと分かっていても、彼女をそっと抱きしめる。
身を重ね、伸ばした手を肩へと遣る。]
姿が見えなくても、声が聞こえなくても。
俺はここに居るから――……。
この先も、ずっと見守っているから……だから。
[神なんて信じたことも無い。
寧ろ、どこまで俺――俺達に残酷な運命ばかり用意するものだと
恨みすらしているが。
そんな神にも縋りたくなってしまう。
再びこの身が触れ合う奇跡が起こってくれ、と。
もう一度言葉を交わしたい。触れ合いたい。]