[もとより、帝国を侮った首脳部の思惑でいえば、ここまで押し込まれる予定ではなかったのだ。それが防衛線の突破からはじまりシコンの反乱と続き、ついには、首都カルボナードにまで迫られた。 海峡内にすら食い込まれることなく、帝国の海軍をウルケルの力で振り払えるだろう。あったとしてもシコンが身を挺している間に決着はつく。カルボナードまでが戦火に巻き込まれることはない──と、そう楽観視をしていた首都に篭る政治家たちは、その身に被害を蒙るかもしれない状況に、顔を見合わせ始めていた。]