[フォークでケーキを一口分切り、口に入れると、
ふわっと薔薇の馨りが広がった。]
…ん!これって、見た目だけじゃなくて、
味も薔薇だったんだ!
[ケーキを食べながら、薔薇の湯で飲んだ
薔薇牛乳がフラッシュバックしてきた。
…と、同時に、思い出すのは
緊急()招集とは言え、何も言わずに宿を出て来てしまった。
彼女の連絡先も知らない。
ただの、旅先での出会い。
行きずりの関係なんて、珍しくもない。
偶然出会って、いくつか言葉を交わしただけ。
ただ、それだけ―――。
……なのに、何故か心に引っ掛かる。]
もっと、お話したかったな……。
また、会いたい…。
[なんて思っていれば、カフェの扉が開いて、
入って来た人物を見ては、思わず息を飲み、>>82
心にポツリとマカロン色が落ちた。]