[…は思い切りよく踏み込み、相手の目前で一気にブレーキをかけると背後にまわり込んで頸椎へ向けて右腕を薙ぎ払おうとする。強烈な殺意を浴びた相手は、その最中で動けるか、動けずに己の爪の餌食になるか。]
[その後、頸椎を抉った死体はそのまま広場へ残し、それ以外は例の如く痕跡を絶やす。死体については、頸椎の部位以外の損傷はないだろう。
帰りは再び宿の周りに足跡が付かないように木の上を渡り歩き、当然、エルナへ向けた書置きも処分する。ただし、広場から宿への足跡が残っていないという、言わば“無の痕跡”は特に意味も無く、意図的に残しただろう。**]