立てますか?
ごめんね、体勢つらいですよね……。
[そう言いながら、再度肩を貸す。
ハダリーのように抱えて歩きたいが、出来てせいぜいおんぶ程度の筋肉に絶望を隠しきれない。
医務室の中へと入ると、なにが嗅いだことのあるような匂いに首を傾げたのも一瞬、床のオイルが目に入る。
マリエッタが倒れていたのも、このオイルが原因なのかもしれない……と、避けるようにして、手近な椅子に座らせた。
何故オイルが……と、訝しんだものの、ひとまず手当が先決だ。
命に別状のある傷ではなかったのが幸いだ。
てきぱきと包帯やガーゼを取り出すシメオンに感心し、その手慣れた様子に……何とも言えぬ顔をする。
(……自分の処置で上手くなったとか、普通に言ったら、雷だ。)
そんな考えが病院嫌いの彼に伝わったかは、さておき。
怪我の処置はシメオンと手分けして行い>>20、彼がカップをカチャカチャと準備している間、床の惨状を眺めていた。]