― 玉座の間 ―
[その後、ウェルシュの姿は玉座の間にある。
そのような場合ではないと重々知りながらも、どうしても父王の前に頭を垂れに行きたかったのだ。
どうしても、というのは。心落ち着けに行きたかったのだろう。
今、玉座の間には花が飾られ狩りの祭壇といった趣を見せている>>27
父王の遺体がそこにあるわけでもなかったが、ウェルシュはそこへ向かった。玉座とは即ち王の権威の象徴であり、人々はそこに王の偉大さを見たからこそ、そこに花を供えたのだろう。
共には誰かの姿があっただろうか。
途中、リヒャルトの姿でもあれば行先を告げたものだが。
さてその後、彼が共にあるかは知らぬ。]