なんだ、起きていたのか。気絶していれば楽しんだのに。[水の中に沈んだ弟の肌は一層青白く、一瞬、不吉な思いが過ぎる。だから、彼が身を起こすのを見て、安堵の代わりに軽口を叩いた。ふたりの周囲には、主の後を追ってきた野茨が蔓を伸ばしている。立ち上がり、しなやかに編み上がっていくそれは、城主の意識が侵入者にも向いていると知らせるよう。]