[絶対に侵入させないとの決意を込めて、藻を持つ大型の魚型魔物の手元へ矢を射る。手にした藻がちぎれそうになって慌てた魔物の横から、フランツの注意を受けた青年が槍を突き入れた。
その間にも、ゲンゴロウ集団は黙々と壁を登りつつある。あと少しで到着しそう……な瞬間を狙い、二人の騎士が運び込んだ樽を傾けて油をたっぷりと流した。ゲンゴロウたちは目的達成の直前で、足をばたつかせながら脱落していく。一匹だけしぶとく壁にしがみついていた奴は、上から剣で切られた。]
よし!これでしばらくは足止めできそうだ。
[この隙にと火矢の準備を整えていると、チャールズからの壁登り部隊の攻略情報>>91が伝わってくる。念のために持ってきた、かの頼りになる武器職人の手によるロングソードを確認しながら、”分かった。”と頷いた。
藻の一部は壁にへばりついているけれども、油を警戒した大型魔物たちは登ってこようとしない。切り札の使用はとっておきのタイミングでと思い直し、陽動作戦を選択したフランツの援護射撃にしばし没頭する。
しかしこちらも余裕があるとは言えない状況であるため、西門付近で異変>>89が発生したことには気付いていないし。また伝達もまだ届いていない。]