>>79>>86―茶会の間―[ソファに掛けた若者と、その膝で撫でられる兎。安穏とした様子の中に何を見てとってか、少女は黒瞳を細める。]……ふふ、誰(たれ)かと思えば。“まきれもなぎな牙”ではないか。今も変わらず、“獣”を御すことはできぬと見える。[唇には薄い笑み。懐旧を混じえつつも纏う気配は冷えびえと凍えゆく――]