[ やがて、霧の繭は、ふわりと空へ...天への帰還の道を昇り始める。
が、上昇を始めてすぐに、雲にまぎれるように白く閉ざされていた繭の足元が透明に変わった。
視線を下にやれば、森の側の人里に赤や黄色の幟がたなびき、紙で出来たランタンのような天灯が、空に放たれてすぐ側まで登って来るのが見えただろう ]
里人の春呼ぶ祭りだ...間に合って幸いだったな。
[ それは、神仙と妖魔の争いがあったとは欠片も知らぬ、里人の醸す祭りの賑わい。
そこに妖魔の汚れを残さず済んで良かった、と、そう口にした玄武神が、その光景をわざわざ見せたその意図の方は...遂に言葉にされることは無いままだった** ]