[それは意外も過ぎる遭遇だった、とでも言おうか。
何故通りかかったのかは知らないが、まさか聞かれていたとは、と思った。
(「始めから聞かれていたら、首の皮はもう繋がっていなかったかもしれない」、と考えたが、そもそも彼がいつからそこで聞いていたのかなど知らない。)
─ 回想/細やかな遭遇 ─
俺の様子を見ても、その人は怒るどころか、何処か楽しそうにも映った。
俺が何かしら言葉を返すより先に、矢張り多忙な身の上なのだろう、彼は身を翻すと立ち去っていってしまった。]
…まるでカインとアベルだな。
[兄は
そんな神話創世記の一節を思い浮かべさせるものがあった。]
はは、 嬉しくない遭遇だ、
[足音も聞こえなくなってから、漸くそう呟けば王の間を辞した。]*