[>>101
オットーは笑った。
いつもは能面のような顔に笑みが浮かんだのを見ればドクリと心臓が跳ねたが、オットーに対して抱いている恐怖を悟られないように表情は変えない。
昼間は人間のフリをしているとしても、体格差ではオットーのほうが勝っている。隙を見せてはいけない。]
……。
[オットーの最初の質問には答えない。
続くオットーの言葉と質問に、ごくりと生唾を飲み込む。
その音がオットーに聴こえたかどうかはわからない。]
…俺は昨日、十年前の人狼騒動の資料を初めて読んだ。
そこには”人狼側の人間である狂人”の存在が、記されていた。
[ディーターの言葉>>1:154で、あの資料は誰かの手によって捏造されていることも考えたが、今目の前に立っている黒髪の男の態度と、そして『処刑』されたということは――やはり、そういうことだ。]
そして、その『処刑された狂人』の名前は記されていなかった。
処刑された人狼の名前は記されていたのに、だ。