[それは国王陛下の命だったから、それに他ならなかった。
親愛なる王子様は弟のことを認めてくれるんじゃないかという淡い期待はもろくも崩れて、もう一人の親愛なる王子様のためについた嘘はどこへいくんだろう。
もしかしたら、今でも彼は……。
いや、彼の中での王様が誕生した。
さてはて謎は残る。
国王陛下の文書――今となっては遺言書になるだろうものはいつどこで作られたんだろう。
彼も思い当たってるかもしれない――。
王都に不在だった半月ほど前の数日。
――回想:白狼館への街道――
やけに上機嫌の母親と馬車に揺られ、白狼館へと向かう。
弟の王子様に勧められた本を片手に母親の止まらない小言に相槌を打っていた]
少しでもお相手が嫌だと言われましたら、
私は断らせていただきます。
[その場に出向くということはもう話はまとまっているということだろう。
万年反抗期もいかがなものかと胸元をキックしてみる]