[彼は付いていく、ついていかないどちらを選んだだろう
私は立ちあがったその足で書庫へと向かう
書庫は少しだけ空気が淀んではいたがそこそこ丁寧に換気がされていた
探すのは郷土史――それも、ここ数年の近代のもの
数冊くらいは見つけられたが、中には取りこぼしもあるだろう
何せ此の書庫に入ったのは初めてなのだから
運よく私に見つからなかった本は焼却処分を免れ
此処に探索に来た人の目に留まるだろう
ショルダーバッグに人目につかぬよう仕舞い込んだ数冊は
きっと夜に崖下へと投げ捨てられる
それが、祖母の願いだから
それがふくしゅう、なの]