[公国で軍人となって暫くのこと、あるひとつの再会があった。再会は軍ではなく、兄を通じてのたまたまである。士官としてというよりは交友のある家同士の一員として、最近士官学校を卒業してきたばかりというトライブクラフト伯爵家の三男坊を紹介されたのだった。再会は無論、一定確立であることである。だからそれ自体は驚きにあたることではない。ディークが叫んだのはむしろ、彼の本来の名と、それの示す過去に記憶が行きあったからであった]