─ 撤退から2日後/氷竜軍・軍営 天幕 ─[夢はそのまま白い靄の奥へと消えて行き。目尻から一滴零し、私は薄っすらと瞳を開ける。目の前に広がるのは蒼い空 ─── ではなく、ここ数日で見慣れた天幕の色。状況が理解出来ず、私は何度か瞬いた。ゆっくり首を巡らせると、傍に誰かが居ることに気付く] ………… ジ ー …… ク …… … ……[声が掠れ敬称を紡げず、名前ばかりを紡いで。私は傍に在る人物を見上げた*]