―メイン・サロン―
[立ち上がり、大きく伸び。
眠った体勢が悪かったのか、少し背中が痛い。
ふと、足元をみると空になった食器が置いてあり、昨日エレのスープを食べ終わるやいなや、眠ってしまったことを思い出す。
皆にスープを配り終わり、エレのお礼の言葉には、いえいえとんでもないと手を振って。
自分にスープを手渡された際に、「トール、どうかしたの?何だか目が腫れてるような…」と言われたときは>>91、泣いてしまった気恥ずかしさを誤魔化すようにして、情けない笑みを浮かべただろう。
そして「ちょっと、怖くて……泣いちゃいました。」と、茶化した言葉を返しつつ、スープを受け取ったに違いない。
見る人が違えば絶句するような、芸術センスあふれるスープの見た目に、何の反応も示さなかったのは、泣いたことがばれてしまった動揺から……かもしれない。]
食器を返さないと……ですね。
[もしエレが近くにいたなら、昨日の食器を返却しに行くだろう。
昨日言えたかどうか分からないので、もう一度、「ごちそうさま、美味しかった」と伝える筈だ。
そして、知っていれば……と、ギターのことを、尋ねただろう。]