―地下への階段―
[考えましょう、考えるのです。]
[現状、最も薬を持っている方は、朝の軍人さん。3錠。ただ……無理に奪うとなると、リスキーな相手です。
それなら彼に関しては、そうですね……上司が、居るようでしたね。彼に、この薬の、追加分のことを話してみるのはどうでしょう。
他の方にも。そうすれば彼の真意はどうあれ、彼に対する疑惑は深まる。]
[2錠持っていらっしゃる方々。正直、積極的に狙いに行くならここでしょう、と私は考えております。
無力な少女に、若い青年達、そして老いた女性。
手に入る薬の個数的にも、リスク的にも、ここが最も手を出しやすい。]
[1錠の方々は、警戒対象、というところでしょうか。明日には切羽詰って来るはずなのです。最悪、なりふり構わなくなる可能性もある。]
[と、なると……。]
[私は唇の端に自分でも気づかぬ小さな笑みを浮かべ、また立ち上がり、歩き出しました。]