人間の薄汚さも、欲に塗れたあの歪んだ笑顔も。
甘い言葉にすぐに堕ちてしまう脆さ、……それでも暖かい者達は確かに存在すること。
[思い出すのは、地へ降りた時のこと。
誤って翼を出してしまった自分を見ても怯えずに手を引いてくれた小さな存在がいた。
けれど神なんて見ることも、存在するかも分からない世界に住む人間達の中には。
天使を利用しようとする下劣な者も、いたのだ。]
私は一度だけ、地上に降りたことがあります。
…けれど天界に帰った時、私の片翼はほとんど無いも同然でした。
今でも覚えていますよ。笑いながら彼らが、私の翼を手折り傷つけたこと。
[終わったことを嘆くつもりはない。
ただ、そんな下劣な存在がいつまでも歴史を紡いでいくことが許せなかった。
綺麗な心を持つ人間など僅かで、ならばいっそ滅ぼしてしまえと思った。ただそれだけ。]