…っ!
[唐突に頭の中に声>>2が響く。空を舞う自分を地に叩きつけようとする、重い重い声音。
その瞬間体が縛られたように動かなくなって、ぐらついた。
落ちる、と分かった。それでもあの湿地に落ちる事だけは避けたい。羽根が濡れては再び飛び立つまでに時間がかかる上、この高さから地面に叩きつけられれば自ら主人を潰す可能性もある。動かない身体でなんとか風を受けて落ちる方角を操る。
腹から無様な格好で不時着したのは、崖壁のおよそ中腹辺り。風雨で欠け、なんとか足場になっている場所。崖の上には奇妙な植物の生い茂る森がそびえている。毒虫や蔦が崖の端の辺りでうろついているが、こちらには来られないらしい。敵から逃げ切れたわけではないが、先ほどの場所よりは安全なようだ。]