― 回想 ―
[その集落は、父にとってはいわゆる『お得意様』だった。
鍛冶師として様々なものを作る父ではあったが、その本質は武器を鍛える刀鍛冶であり。
自身も刀の修行を積む途上の少年にとっては、手合わせできる同世代がいる希少な場所でもあった、のだが]
……え?
[訪れた先、父がいつものように仕事のための話を始めて、自由に歩ける時間を得て。
さてどうしようか、と思っていたら、何度か顔を合わせていた老婆に声をかけられた]
あー、うん。
いいけど……。
[孫娘を迎えに行ってはくれないか、というお願い事。
なんで自分に? と思いつつ、断る理由もないから、軽い調子で頷いた。
その子がいるであろう場所と、行き方を教えてもらって。
茂みの中に隠された道を通ってたどり着いた先で見たものは]