[昨日の出来事を辿るように空に向けた目を眇め、風に弄られる横髪を軽く押さえる。されど、物思いに沈む間もなく、船前方の甲板に立つファミルの目に、海を割る波と鉄の山が映った>>88。 浮かぶ帝国の船に、組んだ腕の肘を抑える。速度を落とした艦は、過たず目前で止まり、艦橋から人影が降りきた。] ───、[その姿に、淡い紫の目が、 僅かに瞠られて瞬いた。]