[>>76微かに口端を持ち上げる親から目を逸らす。
この二年で幾度も衝突―というよりは男が一方的に、と言える―してきたが、彼女には勝てた事がない。
外で漏らした抗議めいた声まで思い出されているとは知らないが、肩を震わせる程の笑い声が聞こえれば]
…っ…、何が可笑しい!
俺を何だと思って…っ。
[口元は一応扇子で覆われたが、それで隠せる程度ではなく。
憤りに肩を震わせながら両拳を握り締めていた頃に、城主の召使が現れたか。]
……ちッ。
[まるで図ったかのようなタイミングに舌打ちを隠す事はない。
彼女がソファーから立ち上がれば、窓辺から離れて客室を後にした。**]